京都炭山朝倉木工の
木の家具が出来るまで
大まかな工程をご紹介します。
コラム は、お時間のある時にご覧ください。
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樹の成長
100年以上前に芽吹き、光・風・水・土の豊かな環境が、樹を育ててくれているところにさかのぼって物語は始まります。
節は、かつて樹が枝を伸ばし太陽の光を集めようとした証。
木目模様は、その一本の木という一つの生命体の生き様そのもの。こうしている今も今夜も、風の中で立っている木の息吹。
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森林から原木を伐採して丸太にする
木材は、素材として使えるようになるまでの工程が多く、手間も時間もかかる素材です。山に立っているときは水分をたっぷり含む重い重い樹。それを斜面で切り倒し運ぶ作業。長いまま運ぶ為の山道づくり。長い木材はそれだけのたくさんの人の労力を経て運び出されています。
生木(なまき)とは水分を含んだ切ったばかりの木のこと。生木を使う木工をグリーンウッドワークと言います。朝倉木工では我谷盆は生木を使います。他のテーブルや椅子、箱ものは何年も乾燥させた木材を使います。
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製材 板や角材にして乾かす
材木の見えない中身を予想して製材。割る向きによって材の価値が変わります。家具用の材は、使う厚みごとに製材し、含水率10%程度になるまで数年かけて乾燥させます。分厚くしておいて、使うときに薄くスライスというわけにいかないのです。乾燥した厚材を半厚に割ることもありますが、割ると内部応力と新たに空気に触れた事で再び反ります。それを平らにすると使える厚みがだいぶんと減ってしまうことから、「使う予定の厚み+何ミリ」で別々に製材し乾燥させておく必要があるのです。
朝倉木工では栗の丸太を購入して製材所で製材してもらい、工房に持ち帰って皮をむいたり割れを防ぐ手当をしてから工房の脇に桟積みして天然乾燥しています。オーダーを受ける多種多様な材は、信頼できる材木屋さんと協力して依頼主ご希望の材を探します。
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打ち合わせ・デザイン・見積もり
我々の家具のLifeは長いです。
オーダー家具の場合、初めにご希望を伺った時点では「小ぶりにしたいけど収納量も多くしたい」など相反する要望が含まれている状態はよくあることです。お伺いしたご希望と木の性質から、優先順位やご予算を整理してデザインをまとめてご提案しています。
コラム 悩ましきものづくり
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荒木取り (あらきどり)
どの材のどの部分を使うかを決めます。完成度を左右する最重な工程です。
クッキーの生地のように型を抜いた残りを集めてもう一度大きな面を作ることができないのが木の特性だからです。
逆に言うと、一点一点、すべての木目は二度と同じものがない点も木という素材の特性です。
シーズニング
ひとまわり大きく製材後しばらく置いて狂いを出す。加工精度を上げるため必須の行程。
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本製材 (ほんせいざい)
材の動きが安定したら、実際の加工寸法に平面出し、厚み決めをします。
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加工
ホゾ組みの凹凸等を作成。隠れる部分に手間がかかりますが、数年後の強度が変わってくるのです
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成形・面取り
どの角度から見ても美しく流れるように成形します。更に面を取ることで大きく印象が変わります。お化粧やファッションに似てるかも。
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仕上げ
全ての部材を 鉋かんな、南京鉋、小鉋、刳り小刀、彫刻刀、のみ、小道具、 などの刃物で仕上げています。木の繊維が乱れないので透明感が出ます。ペーパーも使いますが、刃物のほうが早いところは刃物で、刃物では部分的にツヤが上がり過ぎる所を均質にするためにペーパーを使ったりもします。 仕上げる刃物をつくる職人技術が途切れず続いているおかげでもあります。
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組み立て
最も緊張する作業。時間との闘い。最終調整。
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準備・納品
椅子の脚のレベル出し、脚底貼付など最終チェック。できる限り直接お届けします。
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育てる
使うことが一番のお手入れ。使い込むほどに、より良くなるように仕上げています。
椅子や箱物はオイルメンテ不要。「毎日座る、触る」摩擦で、艶と存在感がでてきます。
水拭きするテーブルのみ、年に一度オイルを塗っていただいています。
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つなげる
作った木の家具が、木の育った時間よりも長く愛用されて、次の世代、次の次の世代の子供たちが木製品や、森林、環境に、興味を持つきっかけになったら何より嬉しい。何気ない毎日の暮らしに、「木の静かで強いエネルギーを届ける木の家具づくり」。
作り手である私たちに木のものの魅力を教えてくれたのも、先人達の作ったそういう木のものでした。