アトリエづくりの様子(制作途中のスライドショー)では、これ以外の写真もご覧いただけます。
2023年秋、地元の仲間の協力のもと、2度目のハーフセルフビルド。
(1度目のセルフビルドはABOUT)
通常の家具製作と同時進行の1年がかりで、
建具、特大階段箪笥、床を、栗・欅・イチイ・楓などの無垢材で製作しました。
具体的には、
この建物は棟上げ、構造用合板の取付や屋根、庇の裏面はイタヤ工房さんが施工。
そこからあとの部分は朝倉木工が施工しました。
外壁の前に、まずイチイの木で窓枠を制作して取付けました。
そのあと、板金で小さな庇をつくって取付け、透湿防水シートと防水テープを足場に登って作業しました。その後、通気胴縁の取付け、透湿シート付のラス(金網ネットのような、土を絡ませる面)を
施工。
今回左官の壁に惚れ込んでお願いしたのは齊藤左官 さん。
(齊藤は、厳密にいうと刀Yで下の点ナシ、だそうです。)
齊藤新人(チーム齊藤)による土壁、土床は神秘的・圧巻で、掻き落とし、コテ押さえ、瑪瑙(めのう)磨き、様々なテクスチャーで空間を包み込んでいます。
具体的には、こて塗り作業は左官チームにお任せして、京都炭山朝倉木工チームは、
窓枠に養生テープを貼って、左官チームが下塗りしたら、はがして、
再び上塗り用の養生テープを貼って、外壁の土をこねて(「練り子」という役)土を使う場所まで運ぶポンプが調子悪い時はバケツで運ぶ係。土は重くて日の光があたる場所は特に時間との闘いで大変!
左官チームが上塗りしたら、荒いブラシから数種類のブラシで段階的に掻き落とし。
ほか、ぎゅっと抑えることや瑪瑙(めのう)で磨くなども。いい経験させてもらいました。
左官は素人でも、「平らをつくる」という点においては木工と共通点も多く、その点は左官チームに褒められました。
慣れない土の仕事に、木工チーム(京都炭山朝倉木工チーム)はヘトヘトでした。
1階は工房。キッチン等の建築造作にもチャレンジしていきます。2階のショールームは、土壁、左官床、栗の朝鮮張床、木の家具が炭山の緑と光に響き合う空間に仕上がりました。
左官仕上げに決定する前の段階で、
齊藤左官さんの手がけた左官作品の店舗を観に行きました。
①大阪の「essential store(エッセンシャルストア)」
見に行って、「めちゃくちゃよかった。」亨。
それで、その時点で朝倉木工の内壁と外壁をどうするか、土壁をするか、ウッドショックによる建築費高騰の背景もあり、迷っていて見に来たことを後日左官齊藤さんを通してお話したら、
店主の田上拓哉さん「せめて内壁だけでもしたらええのに~」と。
そうやな、せめて内壁だけでも、、、と考え始めたら、だんだん実現可能な道が開けていきました。
外壁の下に空気層をつくることにして、作業も増えたけれど、いい決断に至ることができました。
そのあと、あの時迷っていた土壁が出来上がってから京都炭山朝倉木工の工房に見に来てくださって、みんなで肉まんを食べました。感慨深かったです。
②京都銀閣寺のカフェ「Farmoon(ファームーン京都)」
壁、床、カウンターなどすべての左官。納まり・質感が素敵でした。心決まりました。
(カフェメニューの手作りの月餅が、感動的美味でした。丸テーブルと、カウンターと、座席が少なめなので、開店時間に行ったら座れました。別の日に行ったときは、待ち時間には2階ギャラリースペースを見ることができました。)
③京都市中京区車屋町通二条下ル「本家尾張屋 菓子処」
お蕎麦で行列ができているお店の、お菓子コーナー。
壁、床、カウンターなどすべての左官。店の外回り足元も細部が美しかった。
カウンターのリアルな使い勝手を伺うことが出来たのも参考になりました。
④京都「菓歩菓歩 京都御所西店」小さなカフェを備えたお菓子工房
〒602-8021 京都府京都市上京区堀松町419
光や色や質感の方向性を考える上で、この空間も非常に参考になりました。
⑤VAGUE KOBE Studio and Gallery
大きな大きなスケールの空間。
本物の質感の土壁に作品が映える空気感。
(他にも齊藤左官の現場はありますが施工決定前にみに行けたのは以上でした)
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これらの空間を見た後で、さて、
この京都炭山朝倉木工の外壁の色・仕上げ方をどうする?
内壁の色・仕上げ方をどうする?
トイレはどうする?
光の具合も、サイズ感も環境も違う。
齊藤新人さんは、10年ほど前、
炭山地域がゲリラ豪雨で土砂が崩れて大変だった時に、
近くに住んでいるからと、
ボランティアで通って地域の土砂片付けのお手伝いしてくださっていたことがありました。
炭山の光と風と空気がどんななのか知っている方が、
ベテランのチーム斎藤の左官職人みんなで意見を出し合って、
色や質感の相談にのってくれたことで、
この地域の風景に似合った、気持ちのいい建物が出来ました。
こんな具合に、施主がたくさん口を出して設計しにくかったでしょうに、
嫌な顔一つせずに
ITAYA KOBOの石巻充啓氏が
あれこれ相談にのってまとめ上げてくださいました。
入口の大きなヒサシの空間が特に気に入っています。
アトリエの前の小さな植栽空間は、地元の
江夏庭苑事務所さんが提案してくださって、
侘助、メグスリノ木、などなど季節の楽しみを感じられる庭ができ、
石(岩)も自然な流れをつくってくださって、とても気に入っています。
最初は植栽は諦めようとしていたのですが、植栽で土壁も見え方がぐっと変わりました。
朝倉木工から車で10分の場所にある
雨堤商店さんでは、防水テープ両面幅広タイプ など、足りなくなって買いに行ったり、お世話になりました。
「あまつつみ」 と読みます。雨つつみ、、、
先祖代々の名前だそうです。詩的。
セルフビルドをした経験から、デザイン云々も大事だけど、
とにかく雨風から建物を守る、木造の場合は特にこれが一番大切な家の機能だと実感。

書ききれなかった左官の話はまだまだあります。ぜひ一度、お越しください。
来訪時には、②shopと③アトリエの両方をご覧いただく事が出来ます。
(①ショールーム(自宅部分)のみ要事前予約)
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京都の家具『京都炭山朝倉木工』
長く愛用できる無垢の木の家具を
刃物仕上げでつくる家具工房&SHOP。
Chair、table、特注オーダー家具、キッチン等、
デザインから制作、販売まで一貫制作。
〒601-1395 京都府宇治市炭山堂ノ元23-3
Showroom open
月~金10:00~16:00、
土日祝:予約制。(当日予約は電話0774-39-8095)
●平日は予約不要でご覧いただけます。朝倉亨に御用の場合はお電話いただけると確実です。
●土日祝は、予約が入っていない時間帯は納品や打合せなどで出かけている場合と、自宅兼工房(SHOPの隣)にいる場合があります。当日でもご遠慮なく電話でお問い合わせください。
電話: 0774-39-8095
追記
2025/3/5発売の
コンフォルト
に、齊藤左官さんの記事取材で、
京都炭山朝倉木工も取材を受け掲載して頂いています。
是非ご覧ください。
取材を受ける中で勉強になることや気づきがたくさんありました。
ありがとうございました。
編集・取材:多田君枝様
取材・執筆:笹田理恵様
写真撮影取材カメラマン:笹倉洋平様
![CONFORT No.202(2025年04月号)[雑誌]土 左官とタイル表紙](https://static.wixstatic.com/media/523331_94c2d79cb8fb4daa8c45c4be8c1bce0e~mv2.jpg/v1/fill/w_980,h_1366,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/523331_94c2d79cb8fb4daa8c45c4be8c1bce0e~mv2.jpg)
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DatePublished:2024/6/18
DateModified:2025/3/5
Author:Reina Asakura
Publisher:京都炭山朝倉木工
Kyoto Sumiyama Asakura Mokkou
Quality Furniture Design & Woodworks