10月の炭山の青空を見上げると、
大きな翼の鳥がゆっくりと、
たくさん飛んでいる。
「鷹の渡り(たかのわたり)」というのだと、
こどものピアノの先生から教えてもらった。
野鳥に詳しい先生曰く。「鷹たちは春に、
虫がたくさん生まれてくる日本めがけて
インドネシアのあたりからやってくる。
沢山の種類の動植物があんなに一斉に
芽吹き、生まれ来る日本の春は、
世界では珍しく、鳥にとって天国なの。
秋まで日本で過ごし、こうして空の上のほうで、
いい風の流れがやってくるのを待っていて、
気流に乗って海を越えて飛んでいく。」「バッサ、バッサ、っととんでたんじゃ、
とても何万キロも飛べないわよ。
風を捉えて飛んでいくの。」野鳥の会の方が日本各地で数え集計している
鷹の渡りページもあり
「今日、京都に30羽だから、
次の地点で明日見られる」
とか。
2023年は京都10/7の時点で合計5811羽通過。
こうして数えたり、個体を見分けたりして
鳥を見守っている人が、日本各地に。
詳しい人からあれこれ聴かせてもらい、
秋の空を見上げるのが楽しくなった。
人間の世界の価値観ばかりみていては偏る。何百年も風に吹かれる樹木の視点を
家具や小物にして暮らしに取り入れたとき
日々の小さな世界と同時に
自然界のダイナミックさを
想像出来る人になりたい。
こどもと成長していこう。タカ? ワシ? トンビ?見分けかたがよくわからない。調べてみよう。鷹が日本から飛んで行くとき、雁は北から日本にやってくる。
生まれてからどうしてそれを知るのかなあ。
今日は家具の漆うるし塗り。
途中が面白かった。削ったところが綺麗に出てニンマリ。
同じとき、京都炭山の上空では、
鷹が風の流れを待っている。
これから何万キロも風をとらえ飛んでいく。
おーーきな世界を想像しながら漆を拭き、ちーーさなホコリの粒をとっている10月。
「悠々と飛ぶ鳥のように
なにものにもとらわれない自由な心」
18で私が長野を飛び立つ年、
父母が書いた年賀状の一節。
「君も自然の一部 旅立つ明日、
春の訪れを待つ」
asakura reina
後日談:
炭山で撮ったこの写真を後にピアノの先生に見せると、
「このしっぽは、、、トンビじゃない?」
このしっぽは先端がしゃもじみたいにアールになっているけれど、
鷹のしっぽの先端はもっとまっすぐなんだそう。
観察。観察。来年が楽しみ。
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DatePublished:2021/5/2
DateModified:2024/6/14
Author:Reina Asakura
Publisher:京都炭山朝倉木工
Kyoto Sumiyama Asakura Mokkou
Quality Furniture Design & Woodworks
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